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» 映像のプロが伝授!バンド撮影のコツ

「自分たちの演奏を映像で残したい」と考えても、どうやって撮影したらよいか悩む方も多いと思います。
このサイトでは数多くのテレビ番組の制作してきた筆者が、プロの視点からバンド演奏の撮影のコツをアドバイスしたいと思います。
今回、横浜のロックバンド「音魂」の皆さんにご協力いただいてサンプル映像を作りましたので、撮影方法の解説と映像を見ながら自分たちに合った収録方法を考えてみてください。

カメラ1台固定

ライブハウスで設置してある固定カメラで撮影した映像は、このようにバンド全体が映るサイズで撮影されています。
メンバー全員の演奏が一目で見られるので、自分たちのステージを反省するための材料としては良い映像ですが、他の人に見てもらうのは少し退屈な映像です。

カメラ1台ハンディ

映像の最大の魅力は動きです。
カメラに動きが入ることで、同じ演奏の映像が何倍にも魅力的になります。
家庭用のビデオカメラを1台とカメラを操作できる人がいるなら、三脚などに固定せず手に持ってステージの前後左右を動いて撮影してみてください。
固定のカメラでは決して撮影できない魅力的な映像が撮影できるはずです。
またカメラ本体を足元付近まで降ろして撮影することで、ステージを見上げるような迫力ある映像も撮影できます。
ハンディカメラで撮影する時のポイントは演奏する楽曲のテンポとカメラの動きです。
アップテンポの曲は早い動き、スローテンポの曲はゆっくりとした映像
サンプル映像でも、途中で楽曲のテンポが変わったら、カメラの動きがゆっくりになっているのがわかると思います。

カメラ2台(三脚つき1台+ハンディ1台)

カメラが2台使える場合は撮影の幅が大きく広がります。
一般的には2台のカメラを使用する場合は、センター正面に演奏全体を撮影できるカメラを1台配置し、ステージ前の左右どちからに1台配置します。
今回は図のようにボーカルがセンターとステージに向かって右側にいるため、ステージ前の右側に配置しました。
カメラ2台ある場合は1台を三脚をつけてセンター正面に、1台は自由に動けるハンディにした方が撮影できる映像が多彩になります。
1台を三脚つき、もう1台をハンディにした理由を説明しましょう。
ハンディカメラ1台で撮影した前の動画でわかるように、ハンディーで動き続ける映像は迫力がありますが、落ち着きがなく長時間見るのは疲れてしまいます。
動きのあるハンディのカメラワークと安定したカメラワークをバランス良く組み合わせることで、見ていて疲れず、なおかつ迫力もある多彩な映像を作り上げることができます。
カメラを操作でできる人が1人しかいない場合は、センター正面のカメラを三脚に乗せて演奏全体が映るサイズで固定を撮影する方法もあります。

カメラ3台(三脚つき3台)

一般的なテレビ番組で撮影する基本形です。
映像自体もテレビ番組を見ているような仕上がりになっていると思います。
前に紹介した「カメラ2台(三脚つき1台+ハンディ1台)」では、ステージに向けって右側にカメラを配置していたので、ステージに向かって左側のベースやドラムのカットが少なくなってしまいました。
カメラが正面と左右にあることでバランス良く映せるため、カットの多彩さと安定が両立したバランスの良い仕上がりの映像になります。
この形はトーク番組などでも使われる汎用性の高い撮影方法なので、バンド演奏だけでなくクラシック演奏の撮影にも適しています。

カメラ3台(三脚1台+ハンディ2台)

前に紹介した「カメラ3台(三脚つき3台)」は汎用性が高い反面、激しいロック系の演奏では落ち着きすぎて物足りなさがあります。
左右のカメラを三脚から外してハンディにすることで、カメラの動きの自由度が上がるので激しいロック系の演奏に合う迫力ある映像も撮影できるようになります。
動きのある映像と安定したカメラワークのバランスを作るため、センターの三脚付きカメラは激しい動きをしないことがポイントです。
サンプル映像でもわかるように、演奏していただいた音魂の演奏スタイルのは、一番合う仕上がりになっていると思います。

カメラ4台(三脚1台+ハンディ2台+アクションカム1台)

これまで紹介したサンプル映像でもわかるように、一般的にドラムはステージの奥に配置されるためステージ前のカメラでは撮影しにくく、映像の中にドラムのカットは少なくなってしまいます。
カメラマンがドラムの横に入ると他のカメラから撮影した時に邪魔になりますが、GoPro等の小さなアクションカムをドラムの横などに設置すれば、ドラムのカットを補完することが可能です。
サンプル映像の中でドラムセットの左側から撮影しているカットがアクションカムで撮影したものです。

音に関して

映像のクオリティに拘るには、音にも拘ってほしいです。
カメラについているマイクは周囲のノイズ(現場の雰囲気)を収録するためのマイクなので、演奏された音以外の音も収録してしまうため、音のクオリティは低くなってしまいます。
各楽器をバラバラに収録して編集でミキシングをする方法もありますが、ミキシングには専門的な技術が必要になります。
ホールやライブハウスなど、ミキサーさんがいる会場で撮影する場合は、PAでミキシングされた音を録音データとしてもらって編集でカメラの音と入れ替えて使う方が良いでしょう。

編集に関して

複数のカメラを作る場合、カメラの切り替えができるスイッチャーがあれば、収録と同時に作品はほぼ完了します。
今は10万円以下でも録画機能までついたスイッチャーがありますので、財布に余裕があって編集の手間を省きたいならスイッチャーを購入した方が良いでしょう。
お勧めのスイッチャー
ATEM Mini Pro
https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/atemmini

映像はパラパラ漫画と同じく何枚も静止画が短い時間で切り替わることで動いてみます。
一般的な日本の映像は30フレーム(1秒間に約30枚の静止画が切り替わる)なので、細かく編集をするのであればフレーム単位で編集できる編集ソフトが必要です。
また複数のカメラを並べて編集するため、タイムライン編集という複数の映像ソースを一目で見ながら編集ができるソフトが必要です。
無料の編集ソフトでも「フレーム単位の編集」と「タイムライン編集」ができるソフトはありますが、Premiere Elementsなど1万~2万円台で購入できるアマチュア向けの編集ソフトの方が安心感があります。
https://www.adobe.com/jp/products/premiere-elements.html

編集のコツはリズムに合わせて編集することです。
音楽はリズムに乗って流れますので、リズム(小節)でカメラを切り替えることが重要です。
アップテンポの楽曲は早い切り替え、スローな曲はゆっくりな切り替えるよう心掛けてください。
ただしカメラの切り替えるタイミングはリズム(小節)で切りすぎないこと。
リズム(小節)にピッタリハマりすぎるカメラの切り替えは、リズムと映像がシンクロしすぎて気持ち悪く見ることが多々あります。
有名アーティストのライブ映像やPVを見ると分かると思いますが、演奏のリズムを守りしつつ、リズムの少し手前でカメラを切り替えることが多いと思います。
自身で編集する際に切り替えのタイミングをいくつか試してみると良いでしょう

簡単ではありますが、ライブ映像収録のコツをご紹介しました。
紹介したコツはあくまでセオリーなので、正解ではありません。
正解は皆さんが作る映像作品の試行錯誤の中にあります。
試行錯誤して、素晴らしい作品を作ってください。
皆さんの素晴らしい映像のご応募、お待ちしています。

tvkコミュニケーションズ メディア事業部 石渡秀和

撮影

吉野町市民プラザホール

演奏

音魂 
HP https://9438365527.amebaownd.com/
Twitter:https://twitter.com/otodamashii

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